72を切りたい!ゴルフを愛するアマチュア中年オヤジの「ゴルフ本」レビュー

~ゴルフレッスン本の感想、ゴルフあれこれ、その他いろいろ。気の向くままに~

中井学プロ

中井学プロ <A系 オススメ度:★★★★★

①腕を振らなきゃゴルフは簡単(著者:中井学 2012年 発行:KADOKAWA 企画・編集:エンターブレイン
②ヒップターンスイング(著者:中井学 2014年 池田書店
③誰も言わなかったシンプルゴルフのすすめ(著者:中井学 2017年 河出書房新社

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 「手や腕を使わないスイング」を提唱する「脱・手打ち」論者の一番手といってよい先生です。A系の筆頭格と言っても過言ではないでしょう。ご自身でも積極的に試合に出場されており、2018年3月の千葉オープン予選会(プロの部)にも出場されていました。著書も多く、人気の先生です。

 

腕を振らなきゃゴルフは簡単

強い球で飛距離が伸びる! ヒップターンスイング

 ①と②は、ほぼ同じ内容です。ただ、①の方が「理論」に関する記述が多く、②では、目指すスイングを身につけるための練習法(ドリル)が豊富に紹介されています。
「脱・手打ち!」というスローガンのもと、手や腕への意識を捨てて、身体(体幹)をしっかり動かすことを力説されています。特に①では、身体の使い方が詳しく写真で説明されていますので、中井先生の理論を取り入れようとする方には、オススメの本です。とにかく①②ともに、「手打ち」を徹底排除すべきことが強調されています。
 
 実は私がM系からA系へのモデルチェンジに取りかかったとき、最初に読んだのが中井先生の上記①と②でした。「俺って、結局手の動きだけでごまかして、なんとなくゴルフっぽいスイングをしているだけなんだよなぁ・・・」と悩んでいたところに、正面から「脱・手打ち!」を主張する本に出会ったわけですから、「これだ!」と飛び付いた感じです。なんたって①のタイトルは「腕を振らなきゃゴルフは簡単!」ですから。過激なタイトルだと思います。「え?ゴルフって腕振るモンなんじゃないの?」って思いましたもん(笑)。
 熱心に読んで、練習して、実際コースでも徹底して中井先生の提唱するスイングを実践しようとしていました(もちろん、いつものように単なるモノマネで終わり、実践とはほど遠いレベルに終わるのですが)。
 ただ、モノマネであっても、先生の理論を少しでも取り入れようとした結果、スイングが怖くなくなってきました。私の場合、手と腕に頼るスイング、言い換えればクラブヘッドを手先でこねくり回してごまかすだけのスイングでしたから(今思えば、M系ですらないテキトーなスイングでした)、ショットのたびに「そもそも、当たるのか」という恐怖感がいつも頭にあったのです。私はゴルフを始めてから空振りは1度もしたことありませんし、ダフリのミスもほとんど出ないのですが、トップと制御不能のスライス、ひどいプッシュアウトのミスが多かったのです(クラブを手でこねくり回してヘッドを当てにいくだけだったから、インパクトでヘッドが上滑りしていたのでしょう)。それらのミスが激減して、とりあえず大事故にはならない球が出る確率が高まりました。そうなると、ショットのたびに襲われる恐怖感もだんだん小さくなっていき、ラウンドすることが楽しくなりました。
 先生も本の中で仰っていますが、体幹を使うスイングにして、手や腕を動かす意識を捨てることで、逆に手や腕の動きが安定してくるのですね。私の場合は、トップの位置が毎回ちゃんと収まるようになり、切り返し以降のヘッド軌道が安定してきたので、それなりの球が出るようになったんだと思います。
 ただ、手や腕を動かす意識を捨てると、私の場合は「インパクト」の感覚が消えてしまったのです。スイングの流れの中でボールをとらえる中でインパクトはちゃんと存在しており、だからこそそれなりの球が出ているわけですが、感覚としてインパクトが消えてしまったのです。それが、ちょっと不安でした。
  
 誰もいわなかったシンプルゴルフのすすめ

 さて、③はちょっと面白い本です。「脱・手打ち!」「手や腕を使わない!」という先生のスローガンが、どうやら誤解を招いている向きもあるようなのでということで、先生が今までの理論に補足説明を加えるという感じの本です。
 先生の理論に何もブレはなく、内容も前述の①②とほぼ同じなのですが、③では「アームローテーション」「ヘッドターン」という2つのキーワードが強調されています。
 どうやら先生は、①②で「脱・手打ち!」「手や腕を使わない!」という表現を強調したため、逆に手や腕の「あるべき使い方ができない人」が増えてしまったとお考えのようなのです。そこで、①②ではあまり強調されていなかった手や腕の「あるべき使い方」を、特に「アームローテーション(=腕を回すこと)」というキーワードで丁寧に説明してくださっています。「アームローテーション」が正しく行われれば、クラブのヘッドも正しくターンして、しっかりボールをとらえることができ、スイングが正しく完結するのだ、ということを、今までの理論に補足する形でおっしゃっています。ただ、①②にも「アームローテーション」については「肩甲骨を動かして行う」「肩甲骨のスライドにより自然と行われる」ということがちゃんと書かれていますので、①②をちゃんと読めば③を読む必要はないかも知れません。もちろん①②と同じく、正しい体重移動の形など、基本的なこともちゃんと書かれています。
 
 中井先生の理論を学ばれるなら、①②をセットで、余力があれば③を追加でお読みになるのがいいと思います。