72を切りたい!ゴルフを愛するアマチュア中年オヤジの「ゴルフ本」レビュー

~ゴルフレッスン本の感想、ゴルフあれこれ、その他いろいろ。気の向くままに~

デビッド・レッドベター氏

デビッド・レッドベター氏 <A系 オススメ度:★★★

①ハンディ版モダン・ゴルフ徹底検証(著:デビッド・レッドベター 訳:塩谷紘 ベースボール・マガジン社 2006年)

②デビッド・レッドベター「Aスウィング」(著:デビッド・レッドベター/ロン・カスプリスキ 翻訳・監修:レッドベターアカデミー日本校 石田昭啓、黒川晃 ゴルフダイジェスト社 2016年)

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 世界的に有名な先生です。ゴルフを極めて全身的な運動であることを明確に示した「ザ・アスレチックスウィング」を著し、世界中のゴルフ指導者(インストラクター)の頂点に立つという評価を得ているといっても過言ではない、大変高名な先生です。

 

モダン・ゴルフ 徹底検証 ハンディ版

 私は、まず①を先に読みました。①はそもそもコンセプトからして面白く、ベン・ホーガン先生の伝説的な名著「モダン・ゴルフ」(1957年)に書かれている内容を、レッドベター先生がより深く現代的に掘り下げていくという趣旨で書かれています。ゴルフのレッスン本というより何か格調高い学術書のような雰囲気さえ感じる1冊です。

 

 ①は随所にホーガン先生の写真が掲載されており、その点でも面白いです。グリップ、アドレス、バックスイング、ダウンスイングと、スイングの各段階のモデルを実際にホーガン先生が務めておられる貴重な写真ばかりです。何枚か「オフショット」のような寛いだ感じの写真もあり、私はホーガン先生にちょっと親しみがわいてきました(笑)。それらの写真を豊富に示しながら、ホーガン先生のスイング分析が進められていきます。「モダン・ゴルフ徹底検証」という書名のとおり、基本的にはホーガン先生のスイングを客観的に分析する内容が主ですが、それとともにレッドベター先生の「自説」も豊富に記述されており、大変参考になりました。

  全編にわたり精緻なスイング論が展開されていきますが、その中で、レッドベター先生がご自身の「ゴルフ哲学」に触れられている一節がありました。「スウィングを抜本的に改造しようとする場合には、頭を使って系統立てた練習をしないと、ゲームに支障を来たす場合がある。あるゴルファーのスウィングがすべてのゴルファーに適することはないこと、そして自分自身にとって必要なことを中心にスウィングの理論やヒントを発展させていくことを、常に念頭に置くことが肝心なのである。ホーガンはそれをおこなった。あらゆるレベルのゴルファーは、彼を見習ってほしい。」(①、124ページ)。なるほど、と思いました。

  もしホーガン先生の「モダン・ゴルフ」をお読みになる機会がありましたら、あわせてお読みいただきたい一冊です。

 

デビッド・レッドベター「Aスウィング」

 ②は比較的新しい、レッドベター先生の最新の理論が紹介されている本です。①にくらべると、かなり平易な文章で書かれており、読みやすい本です。

  「『Aスウィング』は、他の理論と何が違うのでしょうか?決定的な差異は、そのバックスウィングにあります」(②、16ページ)とあるとおり、バックスウィングが特徴的です。その特徴的なバックスウィングを行うため、グリップからして独特です。「プレイヤー・グリップ」と名付けられており、左手をストロングに、右手をウィークに握るというものです。また、トップでクラブヘッドが飛球線の右を指す(右打ちの場合)のが理想とされています。

  私は谷将貴先生の理論で練習しているのですが、谷先生はトップで「レイドオフ」の位置に収まることを非常に重視されており、トップでクラブヘッドが飛球線の右を指す「シャフトクロス」を嫌っておられます。谷先生の理論で練習し、ようやく最近好結果が出始めていることもあって、レイドオフを明確に否定する(②、110ページ)「Aスウィング」はちょっとダメでした。独特のグリップも、私にはかなり違和感がありました。

  ただ、「身体の動き」「身体の使い方」についての記述はすばらしく、大変参考になりました。「『Aスウィング』における身体の回転運動」という章が設けられており(②、第4章)この章の内容は本当に役立ちました。別に「Aスウィング」でなくとも、この章で説明されている身体の動きは、「ゴルフスウィングの公約数」として、様々なスウィングに共通するものではないかと思いました。

  「Aスウィング」では、腕とクラブの動きについても詳細な説明がなされていますが(②、第5章)、極めて「A系の本です。マスターしたら、本当の意味でオートマチックにスイングできるようになるのかも知れません。

  現在のスウィングでどうにもならない、練習しているけどまったく成果が出ないとお悩みの方は、思い切って「Aスウィング」完全マスターにチャレンジしてみるのもいいと思いますが、そうでなければ、今のままでいいのでは・・・

  面白い本ですが、それほどオススメというわけでもありません。ゴルフ知識を増やしたい方や私のようなレッスン本好きの方が「こういうスウィング論もあるんだな」という感じでお読みになるのがいいと思います。