72を切りたい!ゴルフを愛するアマチュア中年オヤジの「ゴルフ本」レビュー

~ゴルフレッスン本の感想、ゴルフあれこれ、その他いろいろ。気の向くままに~

ボビー・ジョーンズ氏

ボビー・ジョーンズ氏 <M系・A系> オススメ度:★

①ボビー・ジョーンズ ゴルフのすべて(著者:ボビー・ジョーンズ 訳者:永井淳 ゴルフダイジェスト社 2011年)

 

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 ゴルフファンならその名を知らぬものはない「球聖」、ボビー・ジョーンズ先生の著作です(原題:Bobby Jones on Golf)。

 

ゴルフのすべて

 本書は先生が「少なくとも半世紀に渡るゴルフへの献身のなかで、私がゴルフのプレイについて学んだことのエッセンスを一冊の本にまとめようとした」(「まえがき」より)ものです。

 アメリカのゴルフ関連書籍の多くがそうであるように、本書も非常に格調高い一冊です。あたかも、高名な法律学者(たとえば、日本では憲法学の芦部信喜先生のような大家)が、その晩年にご自身の研究生活を振り返る一冊を著されるような、そんな気品の高さを感じる一冊です。それもそのはず、ジョーンズ先生の「本業(?)」は弁護士です。法律家でもあった先生ですから、その御著書が気高い法学書の雰囲気を帯びているのも、ある意味自然なのかも知れません。

 

 本書は「第一部 技術編」「第二部 実践編」の二部構成で、第一部では先生の技術論が余すところなく記述されています。

 「とはいえ、ヒッコリー・シャフト時代のレジェンドプレーヤーの技術論だから、現代ではどうなの?」と心配する必要はありません。本書は今から90年近く前に先生が執筆されていた新聞コラムを再編集したものですが、おそらく晩年を迎えられた先生が、「スチール・シャフト」が主流となってきた時代のプレーヤーをも観察し、いわば(当時における)「道具の進化」を踏まえた上で編集されています(「まえがき」20ページ~21ページ参照)ので、現代においても非常に参考になる記述にあふれていると思います。

 

 本書は元が新聞のコラム記事ということもあり、先生が「アベレージ・ゴルファー向け」に貴重なメッセージを送られている本ですが、記述されている内容はあまりにも充実していてハイレベル、とても私などのレベルの者がレビューできる内容ではなく(それは、実は他の本でも同じなのですが笑)、内容をコンパクトに紹介するのは難しい、というのが本音です。「ゴルフ本レビュー」ブログの管理人としては失格だと思いますが、すみません。今の私のレベルでは、この本を詳細にレビューできないことを、素直に認めます。

 

 全編にわたって、イラストや写真は一枚たりともありません。すべて文字だけの記述です。先生の技術論やゴルフに対するお考え、想いなどのすべてが、ひたすら文字だけで記述されていきます。そのため、本書はあくまでゴルファーであり、かつ相当の「読書好き」の方でなければ、オススメできない一冊だと思います。

 

 ボビー・ジョーンズ先生といえば、今ではYoutubeなどで往年のスウィングを見ることができますが、以前の私はその映像の印象などから「腕と手を積極的にお使いになる先生」だと思っていました。だから「M系」なのかなと。でも、「第一部 技術編」の中で「第四章 ボディ・ムーヴメント」という章が設けられており、そこではスウィング、特にダウンスウィングにおける身体の使い方(腰の使い方)について詳細な記述があり、ベン・ホーガン先生が名著「モダン・ゴルフ」において述べられていることと共通する内容が記述されていました。

 それで改めて先生の映像を探してみると、先生がレッスンされている動画がありました。見てみると、身体の動きについても説明されており、やっぱり体の動きって大切なんだなと思いました。とすると、「A系」なのかな、とも。ともあれ、先生のスウィングが美しく無駄がないということは、私ごときの者にも、よくわかりました。ただ、残念なことに、この映像は字幕がないので、私の英語力では先生のおっしゃっていることの1000分の1も理解できないのが残念です。本ブログをお読みいただいている方で、どなたか英語に堪能な方いらっしゃいましたら、ぜひ全訳をご教示いただけたら、ものすごくありがたいです(笑)。

 


Bobby Jones golf lesson

 

 ちなみに、私はこの時代のアメリカに、すごく憧れます。上記の映像からも、その時代の雰囲気が良く伝わってくる「古き良きアメリカ」、まさに先生は1902年のお生まれですから、いわゆる「黄金の1920年代」に青春時代を送られたわけで(そして、その青春時代の終わり、28歳で競技生活を引退されたわけで)、私はそんな時代とも重ね合わせて、先生に憧れを感じる者の一人です。

 

 もし本書を手に取られることがあれば、「第二章 実践編」は、ぜひお読みになっていただきたいです。「実践編」というタイトルですが、内容は技術的なものは少なく、主にゴルファーとしてのあるべき心構えや考え方などが述べられています。とても役に立つ内容ですから、機会があれば、ぜひお読みください。

 

 ところで、本書は「アベレージ・ゴルファー向け」のものであると先に述べましたが、先生が想定されている「アベレージ・ゴルファー」とは、80台前半でプレーできる方を指しておられるようです。「いわゆるアヴェレージ・ゴルファーのスコアは、昔と違ってもはや90から100の間といったレヴェルではないように思える」(「まえがき」14ページ)とあるからです。文面だけだと90を切れば「アヴェレージ・ゴルファー」なのかなとも思いますが、そこは先生のご深慮があったでしょうから、先生のおっしゃる「アヴェレージ」というのは、そうすると少なくとも80台前半を出せるプレーヤーのことなのかなと……そうなると、90をちょっと切った後はどうにもならず悪戦苦闘している私のようなゴルファーは、先生の「定義」によれば「アヴェレージ」のレベルにすら到達していないのかも知れませんね。ゴルフって、大変ですね(笑)

 

 そうそう、この記事を書いていて、「M系」「A系」などと区別することに意味はないのではないかと思い始めました。そもそも、そんな区別があり得るのか、仮にああり得るとしても、私のようなレベルの者にそんな区別ができるはずもないのではないかとも……

 

 まあ、趣味のブログなので、どうか大目にみていただければと思います(笑)

 

 

ちなみに、アメリカ史にご興味をお持ちの方には、この一冊もオススメです。1920年代のアメリカの情景を、斬新な手法で鮮やかに描いた名著です。