72を切りたい!ゴルフを愛するアマチュア中年オヤジの「ゴルフ本」レビュー

~ゴルフレッスン本の感想、ゴルフあれこれ、その他いろいろ。気の向くままに~

内藤雄士プロ

内藤雄士プロ <A系> オススメ度:★★★★★

①ゴルフスイングバイブル(著者:内藤雄士 河出書房新社  2017年)

 

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ゴルフ スイング バイブル

 内藤雄士先生は、私がゴルフを始めた2009年ごろに勢いのあった先生です。

 当時は先生ご自身が模範ショットをしてくれているDVD付きのムック本が手に入りやすい価格で売られており(確か「500円」シリーズ、そんなシリーズものだったと思います)、ゴルフ雑誌にも頻繁に登場されていたように思います。私もMOOK本を買って、熱心に読みました。DVDも観ました。とても美しいスイングをされる先生です。

 

 (なお、本レビューは内藤先生の御著書の記事なのですが、谷将貴先生の理論に関する記述も多少混在します。その点、ご了承願います。)

 

 そういう意味では、当時まだゴルフを始めたばかりだった私にとっては、内藤先生の理論が今でも潜在的に「スタンダード」になっている面があるかも知れません。

 

 最近はツアー中継などでスイング解説をされたりしているのをお見かけしましたが、以前のように紙媒体への露出度は少なくなっているような気がして、「内藤先生はどうしておられるのかな……?」と、ちょっと気になっていました。そんなところに本書が発売されたので、思わず買いました。

 

 基本的に「腕と身体の同調」を極めて重視している点で、「A系」(オートマチック系)です。いくつかの点で違いはありますが、基本的に現在の私が理想として練習している谷先生の理論と同じような理論を展開されています。谷先生も「腕と身体の同調」の重要性を強調されています。というのも、内藤先生(1969年生まれ)と谷先生(1972年生まれ)は同世代で、ともにほぼ同時期にアメリカにゴルフ留学され、当時のアメリカの主流理論を勉強されて帰国されていますから、お二方の展開する理論に似通った点が多いというのも、自然なことだと思います。

 「腕と身体の同調」というのは、あのデヴィッド・レッドベター先生が大きなキーワードとされていることから、あくまで私の推測ですが、内藤先生も谷先生も、おそらくレッドベター先生の影響を強く受けて帰国されたのではないかと思います。

 

 本書は、今までいろいろなところで展開されていた内藤先生の理論を、ひとまとめに整理したという感じの本です。ですから2009年から2010年あたりに内藤先生の本を読んでスイングを練習したという方にとっては、それほど新しい面はない、というのが正直な感想です。

 

 ただ、私レベルが言うのもおこがましいのですが、当時と比べて「進化してるのかな」という点は、いくつかありました。

 

 2009年ごろのMOOK本を手放してしまったので(今思うと、もったいないことをしました)、あくまで私の記憶なのですが、当時は内藤先生も「体重移動(重心移動)」の重要性を強調しておられたように思います。「右→左」の移動です。軸を揺らしながらというほどの大きな動きではないですが、それでも右→左の体重移動(重心移動)の重要性を強調されていたという記憶があります。

 

 2017年発行の本書では、体重移動(重心移動)についてはそれほど強調されていない気がします。正しいスイングをした結果、体重移動(重心移動)は自然と生じる、という感じに、以前に比べると若干抑制された記述となっています。また、「切り返し」を「右股関節の上で」始めるという旨の記述があり、考えようによっては先生は「右軸」を採用されたのかな?とも感じます。

 

 この点、谷先生は、右股関節の上に体重を乗せるというのは内藤先生とまったく同じですが、ダウンスイングにおいて積極的(意図的)な左への重心移動を不可欠としますので、その点は内藤先生との大きな違いなのかなと思います。

 

 本書を読んで印象深かったのは、内藤先生が「骨格」という要素を非常に重視されるようになった、ということです。2009年から2010年ごろに私が読んだ内藤先生の本や記事では、骨格という要素はあまり出てこなかったように記憶しています。

 

 それに対して本書では、骨格という要素がスイング全体に与える影響についてかなり詳細に記されている箇所があり、それらは読んでいて素直に納得できる内容でした。

 特に「グリップ」については、私なりに要約しますと「その人の骨格によって決まるものである」という記述があり、なるほどと思いました。

 

 ウィーク、スクエア、ストロングと、グリップにはいくつかの種類があるところ、その重要性についてはゴルファーであれば誰でも認識しており、かつ、細心の注意を払っていると思います。そのグリップについて、内藤先生は「骨格で選ぼう」ということをおっしゃっているのです。これは、私には新鮮でした。

 

 かつての内藤先生は、いわゆる「ストロング・グリップ」を推奨されており、「これが現代のスクエア・グリップだ」とおっしゃっていた記憶があり、そのグリップを推奨されていたように思いますが、本書では「骨格によるグリップ選択の自由度」が与えられています。つまり、その人のオリジナリティといえる骨格に合ったグリップであれば、それが大きな間違いを含むものでない限り、どれでもいいのだ」というわけです。

 (なお、内藤先生も、谷先生もそうなのですが、やや緩やかなストロング・グリップを「現代のスクエア・グリップ」と称しているところがあり、これはどうなのかなと、常々思っています。ウィークはウィーク、スクエアはスクエア、ストロングはストロングという昔のままの定義でいいと思うのですね。わざわざ緩やかなストロング・グリップを「現代のスクエア・グリップ」と定義する意義と実益は、それほどないように思えます。)

 

 グリップとアドレスさえ正しく決まり、身体の動きが正しく行われれば、スイングは自動的に成立するというのが、内藤先生や谷先生のような「ボディーターン学派」とでもいうべきグループに属する理論の共通点だと思います。

 このグループに属する先生は「手や腕を使わない」ことを非常に強調するので、ある意味私のような普通の趣味のアマチュアにとっては難しいことを要求している面もあると思います。どうしたって、自然にゴルフクラブを振ろうとすれば、それが直線軌道イメージであれ円軌道イメージであれ、ほとんどの方は手や腕を積極的に使うでしょうから。かつての私もそうでした。特に公立の弱小高校レベルながら野球経験のある私は、手と腕の動きだけでゴルフを始めてすぐに90を切れましたから(その後はどうにもならなくなって、ボディーターン学派に「転向」したのですが笑)。

 

 ですから、今現在、手や腕を積極的に使っているアベレージゴルファー(80台前半~89くらい)は、「ボディーターン学派」に属する本書を読んでも、あまり役に立たないかもしれません。もしかすると、コースに出れなくなるほどにスウィングが崩壊する危険すらあると思います。手や腕を積極的にお使いになる方は、桑田泉先生や、三觜喜一先生の本を読まれる方がよいと思います。

 

 私は大枠でいえば「ボディーターン学派」門下生(ただし、ヘボ)なので、本書はかなり役立ちました。手や腕を使う意識をできるだけ消したい、というスタンスで練習されておられる方は、一読の価値があると思います。

 

  最後に、本書の「帯」です。

 

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 うーん。私は本書は好きですが、「日本版モダン・ゴルフ」というほどでは……私はベン・ホーガン先生「モダン・ゴルフ」陳清波先生「近代ゴルフ」も熟読していますが(よろしければ、「3-2. レッスン本レビュー「国外」・3-1. レッスン本レビュー「日本」もごらんください)、さすがにそれと比べるのは……

 

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 これは……レッスン本マニアの私への「挑戦」でしょうか(笑)。それとも、内藤先生からの「戒め」かなぁ……(笑)