72を切りたい!ゴルフを愛するアマチュア中年オヤジの「ゴルフ本」レビュー

~ゴルフレッスン本の感想、ゴルフあれこれ、その他いろいろ。気の向くままに~

プロの技術は真似できない

 今回書かせていただく記事は、以前から強く思っていたことです。

 

 ゴルフを始めた直後から、なんか変だな......と思っていたことがあるんです。

 

 このブログのタイトルも「レッスン本レビュー」というくらいですから、生来的に読書好きの私は数々のレッスン本を読んできましたし、これからも楽しく読んでいくでしょう。

 

 ゴルフ雑誌も好きで、大好きな「オーイ!とんぼ」が連載されていることから週刊ゴルフダイジェストを定期購読していますが、パーゴルフも好きで、けっこう買って読んでいます。

 

 レッスン本大好き、ゴルフ雑誌大好き、の私なのですが、それらを読んでいて、いつも大きな違和感が、どこかにあるのです。

 

 その違和感の正体は、実は明確で、ゴルフレッスン本やゴルフ雑誌のレッスン記事には、「本当の意味でのアマチュア向けのレッスンが、実は少ない」ということなのです。

 

 どのレッスン本も、レッスン記事も、そのほとんどは「プロはこうしている」式の記述にあふれています。特に雑誌のレッスン記事でその傾向は顕著で、ツアーの第一線で活躍しているプロ選手(男子プロ、女子プロ問わず)をモデルにして、人気のあるティーチングプロの先生やツアープロコーチの先生がその技術を解説して、「みなさんもこういうふうにやりましょう!」的な構成となっていることが、なんと多いことかと……(もちろん、モデルとなるプロ選手のイメージアップにもなりますし、記事が華やかになるので、そういうのは楽しいのですが)。

 

 これって、ふつうに考えると、おかしなことだと思うのです。

 

 なぜなら、「プロ」の技術を、ふつうの「アマチュア」が真似できるものではないはずだからです。遠慮なくいわせていただきますと、それは不可能です。

 

 プロがやっていることをアマチュアができるとすれば、そのアマチュア限りなくプロに近い能力を有しているトップエリートの方々だけだと思います。たとえば、本気でプロを目指している方とか、日本アマとか日本女子アマを本気で狙うレベルの方々といったような。著名な方では、往年の中部銀次郎さんのような。

 少なくとも、私のようなふつうの趣味のアマチュアには、到底不可能なはず。

 

 それなのに、多くのレッスン本やレッスン記事では、「プロのやっていることが、(ふつうの)アマチュアにも、まじめに練習すればできる」かのような論調で記述されているように思うのです。

 

 「そんなわけ、ないだろ」と……(笑)

 

 現在の高校野球の世界で、おそらく全国の頂点に立っているといって差し支えないチームとして、大阪桐蔭高校大阪府があります。もはや名将と評価の高い、西谷浩一監督(1969年生まれ、同校社会科教諭)率いる、有名プロ野球選手を多く送り出している超強豪校です。

 同校の練習には、プロ野球のオフシーズンなどにはOB選手が多く訪れるそうで、選手の方々は第一線で活躍する、同校の先輩でもある一流のプロ野球選手から、多くのことを学ぶようです(野球はプロ・アマ規定が厳しいですが、いろいろな形で、選手の方々はOBから学ぶのでしょう笑)。

 西谷監督ご自身も、「子どもたちが一流のプロ野球選手となったOBから学ぶことは多く、意識的に学ばせている」「甲子園だけでなく、その上のレベルを意識させている」という旨のコメントをおっしゃっていたように思います。

  

 これって、甲子園には無縁の(といいますか、甲子園なんて想像したことすらない)公立高校の弱小野球部で選手経験のある方(私のような方)は、おそらく「そうだよね」とご納得いただけると思うのですが、ものすごいハイレベルな話だと思うのです。

 一流のプロ選手の技術を「自分にも実現可能なものとして」学べるのは、大阪桐蔭(または、同レベルの強豪校)でプレーするハイレベルな選手だからできることであって、普通の高校の選手には、まず無理でしょう。ていうか、そんなこと考えもしません(笑)

 

 プロ野球選手のプレーに憧れて、どうにか真似しようとしたり、優れている点を学ぼうという姿勢は、おそらくかつての私のような弱小チームの選手にも、あると思います。

 私の時代だと、1990年代前半、ちょうど野村克也監督率いるヤクルトスワローズの黄金期で、外野手だった私は、俊足巧打、華麗な守備でファンを魅了する1番センター・飯田哲也選手が大好きで、飯田選手のプレーに憧れていました。神宮球場に観戦に行っても、テレビ中継を観ても、飯田選手の守備を観察して、自分のプレーに取り入れようとは思っていました(そういう選手、当時外野をやっていた小中高生の選手は多かったと思います)。

 でも、同時に「飯田選手のプレーが、自分にできるはずはない」こともちゃんとわかっていたので、あくまで頭の片隅で参考にする程度のことでしかなかったわけです。憧れはするけれど、自分にはできないものであることを、ちゃんと理解したうえで、ちょっとだけ参考にしている、という感じです。

 

 ゴルフのレッスン本も、雑誌のレッスン記事も、あくまでふつうのアマチュアが努力すればできて、スコアアップにつながる内容の記事、言い換えればプロとかアマチュアのトップエリートとかのレベルとは切り離した、本当に基本的で大切な部分をしっかり教えてくれるような、そんな記事が増えればいいなと思います。

 

 もっとも、探せばけっこうあるんですよね。ふつうのアマチュアであることを前提として、ふつうのアマチュアが努力すれば実践できる有益なレッスンが書かれている本も、けっこうあります。「プロ」という言葉が一切出てこない本もあります。

 

 私が谷将貴先生を好きなのは、先生が「アマチュアにできる範囲のこと」を明確にして、わかりやすいレッスンを展開されているからです。もちろん谷先生もお話の流れで「プロはこうしている」的なことをおっしゃることもありますが、それはあくまで余談で、主眼はふつうのアマチュアに実現可能なこと(中には相当練習しないとできない高度なものもありますが)を伝えるところにあるからなのですね。実際、先生のレッスンの中では「プロの真似をするな」というのもありますしNHKテキスト趣味どきっ 今どきっ!ゴルフはシンプル&スタイリッシュ 美しくなることは強くなること NHK出版 2017年 25ページ)

 

 そういう本も、また本ブログの「レッスン本レビュー」でご紹介していければいいなと思います。

 

 レッスン本やレッスン記事を参考にする際は、そのレッスンがふつうのアマチュアにとって実現可能な内容なのかを考えて、取捨選択すべきではないかと思っております。そうでないと、かなわぬ夢を見ることになりますから……(泣)

 

 今回はこのあたりで。

 

 今日も一日、おつかれさまでした。