72を切りたい!ゴルフを愛するアマチュア中年オヤジの「ゴルフ本」レビュー

~ゴルフレッスン本の感想、ゴルフあれこれ、その他いろいろ。気の向くままに~

「体重移動態」と「回転態」

 ちょっと前の雑誌の記事になるのですが、坂田塾で有名な坂田信弘先生が、週刊パーゴルフ2018年5月1日号Vol.16のグラビア記事で、坂田信弘がマスターズで見た!世界のスイングに進化あり!」という記事をお書きになっていました。パトリック・リード選手(アメリカ)の優勝で幕を閉じた2018年マスターズ観戦記の中で、現在の欧米で主流となっているスイングについての論評(解説)です。お読みになられた方も多いのではと思います。

 

 記事の中で坂田先生は、スイングを大きく2つに分けられており、一方を「大きな体重移動はせず、その場の回転で打っていく回転態スイング」(18ページ)、もう一方を体重移動態スイング」(18ページ)と「定義づけ」をされています。なお、「捻転態」という言葉も使われており(18ページ)、体重移動態スイングというのは、捻転態スイングとほぼ同義のようです。

 

 ゴルフスイングにおいて体重移動」というのは大きなキーワードのひとつですが、この体重移動をほぼ行わず、その場の回転を重視して打つのが「回転態スイング」、体重移動をしっかりと行って打つのが「体重移動態スイング」というわけです。

 

 そして、現在の欧米においては「回転態スイング」が主流となっており、従来の(特に日本における)体重移動態スイング」は過去のものになりつつある、ということでした。

 

 体重移動態スイング、回転態スイングという言葉を坂田先生は以前からお使いになられていたのかも知れませんが、私は今回、初めて知りました。

 

 坂田先生がスイングを「回転態スイング」と「体重移動態(捻転態)スイング」の2つに切り分けてお話をされているのを読んで、スイングに関してうまくいかずに悩んでいた様々なことが、ストンと胸に落ちたように思いました。

 

 以下、少し長くなりますが、引用させていただきます。

 

 「日本は全体の調和の美を好み、求めてもきた。だから野球においてもピッチャーの投球フォームで、投球終わりに乱れのない美しさを求めた。体重の完全移動が必要であった。」

 「米国は回転態を好んだ。フィニッシュの崩れには頓着しなかった。」「左足一本立ちのフィニッシュは美しい。それは体重移動態スイングである。」「米国人は投げ終えた後の崩れは投球に影響しないと考えた。結果を重視しての合理性であった。」

 「日本は全体を大切にした。途中の先に結果があると考えた。」

 「米国は結果は結果と考えた。速い球、クセ球を投げるのにフィニッシュの美しさは必要かと考えた。」「なら速い球、クセ球を投げることのできる乱れのフィニッシュも美しさなり、と考えた。」

 「今、米国は体重移動多きスイングより、体重移動少なき回転態スイングが主流となっている。」(以上、19ページ)

 

 特に投手の投球フォームに例えられていた点は、「なるほど!」と思いました。私はゴルフのレッスンが野球に例えられる記事をあまり好みませんが(野球に関する知識が中途半端なものが多いので)、今回の坂田先生の記事は大いに納得できました。「そういうことだったのか」と。

 

 坂田先生のおっしゃる通りで、日本の投手は、ボールを投げた後もバランスよい姿勢をとることを重視します。一部を除けば、投球後にバランスを崩す(たとえば右投げの投手が、投球後に大きく左へ倒れ込むような)投手は少ないと思います。(実際、投げ終わった後にバランスを崩すようなフォームは、かなり早い段階で指導者に矯正されると思います。)

 これに対して、メジャーリーガーなどアメリカの投手は、全身のパワーをすべて注入してボールを「ブン投げた」後は、どうにでもなれ的な投手(?)が多いように思います。

 

 この差を「全体の調和を重視するか」「結果を重視するか」の違いからくるものと論じ、前者が日本のゴルフスイングであり、後者が欧米のゴルフスイングであると論じられた坂田先生は、やっぱりすごいです。

 (なお、日本では投手の投球フォームで投球後もバランスのよい姿勢を保つことが重視される点については、調和的美しさの点もさることながら、それ以上に「投手は9人目の野手である」という考え方、すなわち投手は投げ終わった後は打球に対して確実に対応できる守備姿勢を取るべきである、という考え方によるところが大きいように思います。投げ終わった後に直ちにバランスよく美しい守備態勢に入ることができる投手としては、有名な方では桑田真澄さんが挙げられると思います。)

 

 「ああ、自分が目指すスイングは、体重移動態スイングというものだったんだな」ということを、坂田先生の切り分けによって初めてスッキリと理解することができました。

 

 白状しますが、今までまじめに練習してきたつもりではありましたけど、知識のない私にはそもそもスイングは「手や腕を積極的に使う」タイプか、逆に「手や腕をなるべく使わない」ことを重視するタイプか程度の理解しかなく、前者をマニュアル系、後者をオートマチック系などという底の浅い区分けしかできていなかったのです。マニュアル系、オートマチック系という区分けは自分の中ではけっこうイメージしやすいものなので、今後も使っていくつもりではおりますが、「回転態」と「体重移動態」という坂田先生の用いられた言葉は、すごくイメージしやすいものでした。

  

 この坂田先生の区分けと同内容のことが明確に書かれているレッスン本は、私の少ないレッスン本読書歴の限りにおいてですが、おそらくなかったと思います。

 お時間のあるときに本ブログの「レッスン本レビュー」にもお目通しを願えればと思いますが、坂田先生の記事を読んだ今になって思うと、「3-1. レッスン本レビュー(国外)」でご紹介している本のほとんどは回転態スイングを指向するものであり、「3-2.レッスン本レビュー(日本)」でご紹介している本は、両者五分五分であることに気づくに至りました。

 特に私が最も参考にしている谷将貴先生の本は、ほぼ100%体重移動態スイングを指向されるもの、といって良いと思います。現在の主流であろうとなかろうと、私は体重移動態スイングを目指したいです。

 ただ、体重移動態を指向する本の中でも、「回転」という言葉が頻繁に用いられるため、私の読解力ではその本が真に伝えたいスイングのポイントを理解できていなかった、という面がありそうです。

 

 回転態スイングと体重移動態スイングという言葉を知ったうえでそれぞれのレッスン本を読むと、今までとはちがった面が見えてきそうです。新たな視点で、また読み直してみようと思います。非常に楽しみです。

 

 優れた記事を目にすると、自分の無知が恥ずかしくなります。坂田先生、ありがとうございました。

 

 今回は、かなり読みづらい文章になってしまいました。すみません。 

 

 また、しっかり勉強して、練習しようと思います。