72を切りたい!ゴルフを愛するアマチュア中年オヤジの「ゴルフ本」レビュー

~ゴルフレッスン本の感想、ゴルフあれこれ、その他いろいろ。気の向くままに~

三觜喜一プロ

三觜喜一プロ <M系> オススメ度:★

ゴルフは直線運動で上手くなる!(著者:三觜喜一 日本文芸社 2017年)

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 みつはし・よしかず先生。PGAティーチングプロA級辻梨恵プロなど一線のツアープレーヤーだけでなく、ジュニア選手やアマチュアの指導にも力を入れられている先生です。2014年、PGAティーチングプロアワード功労賞を受賞されています。雑誌のレッスン記事などに登場される機会も多く、実績のある先生の一人といえます。

 

ゴルフは直線運動(スイング)で上手くなる!

 本書はタイトルのとおり、スイングを「直線」でイメージすることを主眼とした内容です。「簡単に言ってしまうと、ゴルフは直線運動だということです。もちろん回転する部分はありますが、直線イメージでとらえることでスイングは、ぐっとシンプルになるというのが私の一番伝えたいことです」(「はじめに」)とあり、ゴルフスイングの「回転運動」のイメージを払拭し、「直線運動」のイメージに変えることを主張されています。

 

 本書では①「左軸をとる」ことと、②身体や腕を「タテ方向」に使うこと(パワーの出力方向が下向きであること)が基本的な前提とされています。

 そのため、右軸を取りたい方や右左と積極的に乗っていきたい方には、合わないと思います。また、身体や腕を「ヨコ方向」に使うというか、「(結果的にタテ方向にも使っているんだけど)タテ方向に使う意識はない」という方には、合わないと思います。

 つまり「M系」の本です。「A系」には合わないでしょう。私には合いませんでした。

 

 身体や腕を「タテ方向に使う意識」の方には合うと思います。左軸か右軸かというのはともかく、タテ方向の意識が強くて、かつ「ボールを積極的に捕まえにいきたい」方には、かなりフィットするのではないでしょうか。

 

 本書ではいくつかのドリルが紹介されていますが、「ボール投げドリル」(78ページ~81ページ)は良い内容だと思います。ダウンスイングにおける右手の使い方を身につけるこのドリルは他のレッスン本などでもよく見かけるものですが、本書の説明はかなりわかりやすいと思います。

 

 モノマネ好きの私も練習場でマネしてみましたが、面白いようにボールがつかまりました。というより「ああ、ボールを『捕まえる』とか『自分で捕まえに行く』っていうのは、こんな感じなんだ」ということを、本書に教わりました。

 私が目指している方向性のスウィングではないため、ちょっとやってみただけですけど、自分でボールを捕まえにいく感覚を味わえたのは、たいへん役立ちました。上手くいったとき手に残る感覚は、病みつきになるほどの爽快感ですね(笑)。

 

 なお、本書はやたらと人体に関する用語が出てくるのが、個人的に苦手でした。「人間の体には胸椎、胸骨、肋骨からなる胸郭と呼ばれる部分がありますが、この部分を肩から分離して動かすことで、……」(18ページ)という説明があったり、「(アドレスでは)腰椎と胸郭がしっかり同じ方向に揃っていないとダメ」「……骨盤を少し内側に入れておくことで、腰椎と胸郭の方向を揃えます」(29ページ)「手のひらの中指と薬指の間に尺骨軸というものが通っていて、そこにグリップを当てて握るとシャフトを回しやすくなります」(46ページ)「本来人間には空間認識能力があり……」(92ページ)

 

 などなど。これは三觜先生が人体の構造に基づいた自然なスイングを研究されているので、全然おかしなことではないのですが、あくまで個人的に、中途半端に人体の構造に関する用語とか、妙に「医学チック」な用語が連発されると、ちょっと違和感があるんですね。なんか、スウィングがすごく難しくなってしまう感じで。難しい用語は背後に隠して、もっと普通に体の動き、手や腕の動きをシンプルに説明してくれるだけの方が、読み手は理解しやすいのではないでしょうか。