72を切りたい!ゴルフを愛するアマチュア中年オヤジの「ゴルフ本」レビュー

~ゴルフレッスン本の感想、ゴルフあれこれ、その他いろいろ。気の向くままに~

2007年夏の甲子園、「佐賀北の夏」より

 先日オーバースローサイドスロー」という記事で、私の身体の使い方が「ヨコ回転」だから、ゴルフでも「ヨコ回転」イメージのスイングを練習している旨を書かせていただきました。

 

 実は、そのきっかけを与えてくれたのは、ゴルフのレッスン本ではなく、一冊の野球関係の本でした。今から4年ほど前に読んだ一冊です。

 

 野球の技術本というのではなく、スポーツノンフィクションライターの中村計先生が書かれた佐賀北の夏 甲子園史上最大の逆転劇」(著者:中村計 新潮文庫 2011年)の中の一場面です。

 

佐賀北の夏―甲子園史上最大の逆転劇―(新潮文庫)

 

 2007年夏の甲子園佐賀県佐賀北高校の快進撃(「がばい旋風」)を描写した、私の大好きな一冊です。快進撃のフィナーレは、広陵高校広島県代表)と迎えた決勝戦。終盤8回裏に3番打者・副島浩史さんが放った起死回生の逆転満塁ホームランで有名、今も語り継がれる一戦です。

 その年の佐賀北高校の投手は二枚看板で、馬場将史さん(背番号10)が先発し、久保貴大さん(背番号1)が抑えるというパターンでした。馬場さんは左のサイドスロー、久保さんは右のオーバースロー。現在40代前半、私たちの時代でいう「軟投派」から「本格派」へのリレーで勝ち切る、という戦略です。

  

 その馬場さん、「入学当初は外野手」で、「これといって何かを感じさせることのなかった」選手で、チーム事情もあって「ひょんなことから」投手を務めるようになり、「上から投げ下ろしていた」とこのことです。

 ある日の練習中の小さなきっかけから、監督の百﨑敏克さん「腕を下げてみたらどうだ?」とアドバイスしたそうです。馬場さん、嫌々ながらも(?)腕を少し下げて投げてみたところ、いきなり切れ味鋭いボールが投げられるようになったとのこと。

 当時を振り返って馬場さんは「もう、すぐですよ。球がシューッといって。なんかいいなって。もともと腰を横にしか使えなかったんですよ。それで腕だけ縦に振っていたから、不自然な投げ方になっていたんだと思います」とおっしゃったようです。

(以上、157ページ~162ページ)。

 

 本の記述からすると、馬場さんはサイドスローというより、スリークォーターにモデルチェンジしたという位置づけですが、当時、甲子園での快進撃をテレビ観戦していた私の印象では、腕は少し低めのサイドスローだったように思います。

 

 うぉーっ!これだ!と思ったのが、馬場さんが「もともと腰を横にしか使えなかったんですよ。それで腕だけ縦に振っていたから、不自然な投げ方になっていたんだと思います」とおっしゃっている部分です。

 すぐに私は練習場へ行き、腕や手をタテに使う意識のスイングを改め、ヨコに使う意識のスイングで練習をやり直し始めました。そうしたら、馬場さんがいきなり切れ味鋭いボールを投げ始めたようにはいきませんでしたが、それまでの私の打球にはなかった強いボールが出る回数が増えてきました。それまで弱々しいスライスが多かったのが、強めのフックが出るようになって変化を感じました。やっと出るようになった強めのフックが、ちゃんとしたドローになっていけばいいなぁ、と、調子に乗って400球くらい打ちました(笑)。

 

 意外なところで、大きなヒントに出会ったわけです。投手だった馬場さんも、ノンフィクション小説の中のご自身の述懐が、ある一人のゴルフ好きのオッサンのゴルフスイングを変えさせたとは、想像すらしておられないでしょうね。そう思うと楽しい(笑)

 

 このノンフィクション小説に出会わず、馬場さんの述懐を読むことがなかったら、私は中井学先生谷将貴先生の本に出会うことはなかったかも。ずっと、弱々しいスライスとプッシュアウトを続けるだけで、ゴルフをあきらめてしまっていたかも?

 

 あの夏から、11年も経つのですね。馬場さんや久保さん、副島さんをはじめ、当時の選手の方々も、30代に入られる頃です。立派な大人になられて、それぞれの世界で、思う存分ご活躍されているでしょう。

 

 季節が流れるのは、本当に早いものですね。

 

 ちなみに、現代のスポーツノンフィクション作家では、中村計先生はピカイチ!私は大ファンです。もし興味をお持ちになったら、先生の作品も読んでみてください。特に高校野球がお好きな方には、絶対オススメです!